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SS・featuring Sumika

'04年お正月用SS「小噺:新春の朝」

某年元旦、白銀邸ダイニング。
色鮮やかな赤の晴れ着を纏った純夏と思いっきり普段の部屋着の武が顔を合わせる。
テーブルの中央には簡素な二重のお重が蓋をして置かれており、互いの椅子の前には
少し色の落ちてきた朱のお椀が伏せた状態で置かれている。傍に慶事用のお箸もある。 
「あけましておめでとう、タケルちゃん♪」
「…昨日の夜『行く年来る年』観ながら挨拶しなかったか?」
少し眠たそうに平然と返す武に対し、普段より少し明るい調子で、
「なんでそういうこと言うかなー? 今年のお正月は今までと違うのに」
自信ありげに切り返す純夏。しかし武の方は特に気にとめた風もなく、
「え? 何が違うんだよ?」
と非常に素っ気無い返答。お互いの会話が相変わらず微妙にズレている。
(つーか、『今年の晴れ着姿、可愛いな』とか言う柄かよ、俺が…いやでも、やっぱりなぁ…)  
「タケルちゃん? …何さっきからブツブツ言ってるの? もしかして?」
武の微妙な口の動きを目聡く見取った純夏は、少し身を乗り出して嬉しげに問いかける。
間近に迫った純夏の顔を改めて視界に収めてしまうと、言おうとした言葉が口から出せない。
今まで仲良く馬鹿やってきた幼馴染みから、つい最近やっと踏み込んだお互いの関係。
その距離感をどう表現していいのか、武にはまだ掴めていない。それでも何とか言葉を紡ぎ、
「あ、いや……お前…き、…か……」
「えっ!? なになに?」
「いや、その…えーと……悪い、腹減った」
一瞬「?」という表情を浮かべたもののすぐに微笑を取り戻した純夏、
「もう、しょうがないなぁ〜、すぐ準備するね…食べたら一緒に初詣だよね、タケルちゃん?」
「当たり前だろーが。お前の晴れ着、そのためのもんだろ?」
「うん! …それじゃ、ちょっとだけ待っててね」
嬉しそうに武の前に置かれたお椀を取り、キッチンのコンロの前に歩いていった。



<ひとまず了//出てくるお雑煮の中身は、読まれた方のご想像にお任せ…>
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