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SS・featuring Meiya

御剣冥夜・生誕祝 「Like a box of chocolate.」Camera B

>>>Camera B・Focus=白銀武

マスケラの連中に船内に連れ込まれた俺は船内に入ってすぐ目隠しされ、腕をそれぞれ女(腕と胸の感触で分かる)に組まれた状態で、船内をあちこち歩き回らされた。
おかげで今俺がどこにいるかなんて、さっぱり分からない状態だ。
向こうだって「ゲーム」の(冥夜にとっての)目的・勝利条件である俺の居場所を簡単に割られても困るだろうから、色々策を弄してるんだろう。…正直、よく分からんけど。

目隠しをされて、船内(と思われる、寒空の下に連れ出されてはいないので)を歩き回りながら、俺の左肩の方から少し低めの声が「俺に」対して話し掛けてきた。これは確か、船上で聞いたリーダー格の女の声だ。月詠さんかと思ったが、さっきの首筋の刃物は芝居ではなかった。…気を許せる相手では、ないかも知れない。
散々歩き回ってからだから、ゲームが開始されてるかどうか、開始されたとしてもそれからどのくらい経過してるかは全く俺には認識できない状態だ。
「白銀…お前の今回の役割だが、御剣冥夜の探す『お宝』になるというのは先程話した通りだ。だからお前に危害が及ぶことはない…」
流石に、俺の身の安全だけ保証されたって困る。猿轡とか口を塞ぐようなものを用意してないってことは、俺に意見する権利はあるってことだろう。
そう勝手に考えて俺は遠慮なく口を挟ませて貰った。
「冥夜には? それから、この船の船員達は無事なんだろうな?」
「…心配するな。このゲームで死者はおろか、怪我人も出ない筈だ」
解せない。俺達、ましてや現御剣家当主の冥夜を相手に派手な「ゲーム」を提案する割に、こいつ等は金品や御剣の財力・権力に関わる事由を要求しない。その上この船に乗っている人間に危害を加える気はないという。…一体何だって言うんだ?

俺は納得がいかなくて、更に質問を続けた。
誰も止めない辺りから察するに、俺にわざと質問させてるのかも知れないが、俺だって何も知らないよりはマシだから、ここで気にしても仕方ないだろう。
「なら……お前等の目的は、何なんだよ? わざわざこの船をジャックしといて、何も要りませんってこたぁねぇだろ?」
「…言っただろ? これは『ゲーム』だ。参加者が楽しめて、怪我がなければそれでいい」
冷然と俺の質問を切り捨てる左肩の女。
それでも腑に落ちない俺は、諦めずさらに追及を続けた。わざと意地の悪い言い回しで。
「楽しむ…って、俺達は二人で夜の海をクルーズして楽しんでたんだが、それを邪魔して俺達が楽しめると思ってるのか? …それに俺は、人質役だぜ?」
「我々がお前達に野暮を働いたことに関しては、後程事情を話す。そこで理解して貰えれば有り難いが…それからお前は人質じゃない、御剣冥夜の探し出す『お宝』役だ」
「そんな理屈で納得できると思うか? 二人揃って、久々の休日だってのによ…それに明日は、俺達二人揃って誕生日だ、ったく…」
(すまない…その埋め合わせはこれが終わってから、ゆっくりと…)
「ん? 何か言ったか?」
「……何も。我々が指示するまで、足を止めるな」
左肩の女は、先程までより少し毅然とした態度に戻り俺の腕を前に引き歩行を促す。
釣られて、左肩の女より少し胸が寂しい(つるぺたとかではない、念のため)右肩側の女も俺の腕を少し乱暴に引っ張って歩かせようとする。そして皆、黙って行軍を続けた。
俺は別段そこまで連中を恨めしく思ってた訳じゃないが、カマをかける為普段より粘着質に相手に言葉を投げかけてみたが、相手は「野暮を働いた」と自分達の行動の非を認めている。自分達が悪いと思いながら、こんな振舞いをしてる…余計に訳が分からん。
俺は更に連れ回されてるらしく、さっき目隠しをしてから延々と歩き回ってる。もしかすると、船内を何周かさせられてるかも知れないな…いい加減、脚がダルくなってるんだが。
「なあ…そろそろ脚を休ませてくれよ。『お宝』なんだろ、俺?」
それでも足を止める気配はなく、数歩歩いたところで左肩から声が返ってきた。
「目的地までもうすぐだ…我慢しろ」
仕方なく、俺は言われるままに脚を進めた。冗談でも嫌味でもなく、いい加減本当に脚が疲れてきた…普段、歩かなくなってきてるからだろうな。

「もうすぐ」と言われて数分(くらい)、俺の目隠しが取られた。目の前が級に明るくなって、数瞬の間目がちかちかした。それから何とか視界を回復した俺が目の前にしたもの はと言うと…
「って、何で俺達、厨房にいるんだ?」
そう、俺達が今いる場所は、この船の厨房の一つだ。俺もこの船に何度も乗った訳じゃないので詳しくは覚えていないが、確かこの船には複数厨房があり、こっちの比較的広くない厨房はメインの会食用厨房から物理的に遠い客間用、つまりサブの厨房だった筈だ。
俺も船の事には詳しくないので適当なこと言ってるかも知れないが、少なくともこの船に複数有る厨房の一つ(それも個室クラスのサブ厨房)に連れて来られたのは間違いない。
…で、俺の質問には誰も答えようとせず、俺を連行してたマスケラの女達も一人(触覚が目立つ女)を残して全員姿を消していた。
「なあ、何で俺は、厨房に連れて来られたんだ? ここで隠れてればいいのか? ここでお前が飯でも作ってくれるのか? …っ!」

「あーもー、男のくせにいちいち質問ばっかりうるさいってば!」

俺に宛がわれたのは、飯なんかではなく、女の渾身の拳の一撃だった。妙に、懐かしい一撃…
それにどっかで聞いた、いや、忘れようにも忘れられない声だな。
てゆーか、このマスケラの女の正体は、俺が思ってる「あいつ」で間違いないんだよな。
「今から説明するから、ちゃんと聞きなよ? …一回しか言わないからね!」
そう言って俺の前に、マスケラを外した軍服の女が向き直った。お前は…


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